診療科・部門
Female Urology Center
Female Urology Urogynecology
女性泌尿器科・ウロギネセンター
受付時間
毎週木曜日 午後14:00~16:00
※初診受付 15:30迄
診療科・部門
Departments and Divisions
全ての女性に知ってほしい「骨盤臓器脱」や「尿失禁」とは
ー当院では骨盤臓器脱など女性泌尿器の専門治療を実施していますー
当院の泌尿器科では骨盤臓器脱や難治性過活動膀胱、尿失禁、膀胱膣瘻(ぼうこうちつろう)などの症状があり、お悩みの女性を対象に専門治療を行うため、「女性泌尿器科・ウロギネセンター」を開設し、「女性泌尿器」専門外来にて診療を行っています。
当センターでは骨盤臓器脱・難治性過活動膀胱など女性泌尿器疾患の専門治療を行っています
症状でお悩みの方、症状に思い当たる方、ご相談ください
尿失禁や頻尿、おしっこが出づらいなどのおしっこの症状がある人の割合は40歳以上で82.5%であるにも関わらず、そのような症状のために医師の診察を受けていたのは、わずか4.9%で、特に、女性は2.5%に過ぎないのが、現状です。その理由の内として、症状に対する恥ずかしさや治療が可能なことを知らないことがあります。その中でも女性の方にとっては、泌尿器科を受診することに対しての抵抗がある方も多いと思います。
そこで、排尿に関して悩んでいらっしゃる女性の方に、少しでも受診をしやすいように女性泌尿器科専門外来を開設いたしました。
少しでも症状にお困りで、受診を悩んでいらっしゃれば、ぜひ受診していただけたらと思っております。

女性泌尿器科・ウロギネセンター センター長
泌尿器科医師 牧泰宏
骨盤臓器脱
骨盤臓器脱とは、別名「性器脱」や「膣脱」とも言われ、出産・加齢などにより骨盤底を構成している筋肉や靭帯が弱くなり、子宮・膀胱・直腸などが下がってきて膣から体外に出てしまう、女性特有の病気です。
こんな症状、骨盤臓器脱かもしれません

【 初期症状 】 | 臓器が膣の入口から完全に出てしまう前で、膣口ギリギリの段階です。この時は、何か膣の入口に下がってくるような感覚があります。 |
【症状が進行】 | 夕方疲れてきたときや、長く歩いたり、立ち仕事をした後に気になるという段階から、いつも臓器が出ている状態になります。 |
- 排尿困難
- フタをしたようで尿が出にくい
- 頻尿
- トイレが近い
- 切迫性尿失禁・腹圧性尿失禁
- 間に合わず、咳や運動で漏れる
- 排便困難
- 便を出そうとすると何かが下がって出しにくい
検査内容
- ● 内診
- ● 尿検査、尿流量検査、残尿測定
- ● その他必要時に実施(超音波検査、MRI検査、CT検査)
骨盤臓器脱の種類

治療方法
※現在、ぺッサリーリング、NTRは当院で対応しておりません。
保存療法
- 骨盤底筋訓練
- 軽度の場合は骨盤底筋訓練で症状の改善が期待できます。
- 骨盤サポーター
- クッションを用いて膣口を抑え、サポーターとホルダーで押上を保持します。
- ぺッサリーリング
- 膣内にペッサリーリングを入れて臓器の脱出を防ぎます。
主な手術療法
- 従来型手術(NTR)
- メッシュなどの非吸収性人工物を一切使わずに自己組織を再利用する方法です。
- 経膣メッシュ手術(TVM)
- 腟壁からメッシュを挿入し、臓器をハンモック状に支えて治療する手術方法です。
【手術時間】1時間位 【入院期間】5日間位 - 腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)
- 腹部に1㎝程度の創を開け、腹腔鏡のカメラや機械を使って膣を手術用メッシュで包み込んで補強し、それを仙骨に固定する事で臓器の飛び出しを解消します。
合併症が少なく、創も小さく出血もほとんどありませんので、高い有効性と安全性を併せ持つ、患者の体に対する侵襲(負担)を減らした体に優しい手術です。
【手術時間】3時間位 【入院期間】7日間位
手術翌日には通常の食事や歩行も可能です。手術件数
2024 2023 腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC) 22 11
難治性過活動膀胱
膀胱に尿が十分に溜まっていないのに、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮する病態です。薬物療法や運動療法、生活習慣の改善などの治療でも効果が不十分な過活動膀胱です。
症状
- ・急に排尿したくなり我慢ができずにトイレに何回も行く(尿意切迫感)
- ・夜中トイレに何度も起きる
- ・我慢ができず尿が漏れてしまう(切迫性尿失禁) など
治療方法
- 薬物療法
- 軽度の場合は骨盤底筋訓練で症状の改善が期待できます。
- ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法
(ボトックス療法) - (薬物療法で効果が不十分な場合に適応)
脊椎麻酔後、膀胱鏡という内視鏡カメラを用いて膀胱の壁内(筋肉)に細い針でボトックスを20箇所に分けて注入します。基本的には入院2泊3日、痛みに寛容な方の場合、外来診療で膀胱局所麻酔薬の膀胱内注入でも可能です。
腹圧性尿失禁
骨盤底筋群という尿道括約筋肉を含む骨盤底の筋肉が緩むために起こります。加齢や出産を機に出現し、荷重労働や排便時の強いいきみ、喘息も骨盤底筋を痛めます。
症状
- お腹に力が入った時に尿が漏れてしまいます。
- 具体例)
- ・重い荷物を持ち上げた時
- ・走ったりジャンプした時
- ・咳やくしゃみをした時 など
治療方法
以下の治療法のいずれかが適応になります。
保存療法
- 作業療法
- 骨盤底筋訓練を行います。
- 薬物療法
保存療法では改善しない場合、また重度の尿失禁や確実に治したい方は手術の適応になります。
手術療法
- 尿道スリング手術(TVT/TOT手術)
- 尿道の支えを強化するため、尿道の下にポリプロピレンメッシュのテープを通します。テープをお腹に通す「TVT手術」と足の付け根から通す「TOT手術」です。体への負担が少なく、長期成績も優れています。手術時間は30分程度で、創は小さく整容面にも優れた低侵襲治療です。入院期間は約4日間で手術翌日には通常の食事、歩行、シャワーも許可となります。
間質性膀胱炎
細菌性感染による膀胱炎とは異なり、膀胱壁の炎症が起こり、頻尿や尿意切迫感、膀胱や尿道の違和感や痛みの症状を伴う難治性の膀胱疾患です。中高齢の女性に多い傾向があります。
症状
膀胱壁の炎症により、頻尿や尿意切迫感、膀胱や尿道の違和感や痛みがあります。
治療方法
主に症状を緩和する目的とした治療が行われます。
- 薬物療法
- 抗ヒスタミン薬や抗うつ薬、抗アレルギー薬などを用いることがあります。
- 手術療法
- 膀胱水圧拡張術:麻酔をかけたのちに、膀胱鏡を用いて膀胱を広げる手術です。
- 膀胱内注入療法
- 抗炎症作用のある薬剤を膀胱内に注入する治療です。
- 生活指導
- 緊張の緩和や食事療法が効果的です。辛いものや柑橘類などの刺激物が症状を悪化させる場合があります。
膀胱膣瘻(ぼうこうちつろう)
症状
何らかの原因で膀胱と膣に瘻孔(ろうこう)という交通が生じ、持続的に尿が漏れる状態です。持続的な尿もれのため、著しく生活の質が損なわれます。
治療方法
- 手術療法
- 瘻孔(ろうこう)を縫合し閉鎖する手術を行います。
善衆会病院 女性泌尿器科・ウロギネセンター
女性泌尿器専門外来
<診療時間>
【午後】14:00〜16:00
※初診の方は15:30までにお越しください
■お問い合わせ
TEL. 027-261-5410(代表)